運転免許証の更新をした。5年に1回の更新手続きで近くの警察署に毎回行っている。
警察署の外で整理券を貰って手続きの時間まで40分程待ち時間があった。朝からの真夏の日差しで暑い中、整理券を貰った人達が行儀良く外に並べれらたパイプ椅子に先頭から詰めて座っていた。日本人の行儀の良さと他人と同じ行動を好む文化が椅子に座って静かに待っている姿からも感じることが出来た。
大きな業務用扇風機が2台せっかく外に置いてあるののに、前から順番に椅子に詰めて座っているので、扇風機の前の特等席の椅子が6席くらい空いてあった。感染症予防などの観点からも、本当は椅子もそんなに詰めずに間隔を空けて座るべきなのに、何故か皆が前から順番に暑い中扇風機からわざわざ遠いところに座っていたから俺は滑稽に感じた。
俺は、集団から離れた扇風機の前の椅子に一人座った。風が当たって快適だった。
そこに一人の少し足の悪いおばさんが、俺の座っている椅子から1つ空けた椅子に座り、扇風機の風に当たり涼み始めた。二人だけ、集団から離れた位置の特等席の扇風機前の椅子に座っている光景になった。おばさんはとても親しげに俺に話しかけてきて、自転車に乗って車の運転で危険な目にあったことなどを色々と話し掛けてきた。俺はイヤフォンを付けてPodcastを聴いていたし、空気を読めば他人に話しかけてくる状況ではないと思うが、このおばさんの空気を読まないところや、集団と同じ行動をしないところに何故か好感を抱いてしまい、イヤフォンを外して待ち時間の間おばさんと二人で扇風機の風を浴びながら雑談を楽ししむことにした。40分程して番号を呼ばれ警察署の中での受付の順番が回ってきた。そこでまたロープが張られた通路で順番に行儀良く並ぶことになった。おばさんはそこでもまたショートカットでロープを自ら外して入口から一番便利な場所に陣取った。そしたら、後ろの集団もおばさんに習って、回りくどいロープを完全無視して、最短距離で移動し受付前に並び始めた。おばさんは先駆者的な行動を取った。周りにいる警察署の人などに全く目がいかないのか、完全にマイペースなのか、いずれにせよ、周囲と同じ行動を取らない行動が目立っていた。受付で書類が渡され申請書を記入する。ふと、おばさんを見つけると、警察署の警察官を掴まえて、記入の仕方をマンツーマンで教えて貰っていた。一つ一つの行動に時間がかかっているようで講習の時間もギリギリだったけど、視力検査と写真撮影を終えたらしく一番最後に入ってきて堂々と一番前に座って講習を受けている姿があった。
新しい免許証を受け取って、おばさんに「どうもおせになりました」を目を合わせて挨拶をして俺はバス停に向かった。バスを待っていると後ろから、「色々どうもね!」と自転車に乗ったおばさんから声を掛けられてお別れをした。
このおばさんが羨ましく思えることは、知らない人に気軽に話しかけることができるスキルだ。
海外に行くと他人でも気楽に話しかけてちょっとした会話を楽しむことが出来るが、日本ましてや東京ではなかなか見ない光景だと思う。
一人で待つ40分より、ちょっと変わったおばさんと会話をしながら待つ時間は短かったかもしれない。俺も変わっているけど、自分らしく、そして、いつかは他人に気軽に話し掛けられるような人間になりたいと思う。皆さんは、知らない人にもフレンドリーに話しかけたり出来ますか?
